ゲラの読書&ゲーム日記

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不定期に本やゲームの感想を書いていきます

【映画「モンスターハンター」原作ゲームファンによるネタバレ感想】「この映画はモンハン風味のB級アクション映画として見ろ!!」

0:目次

1:映画情報

 題名【モンスターハンター

 監督・脚本【ポール・W・S・アンダーソン

 出演

  アルテミス【ミラ・ジョヴォヴィッチ

  ハンター【トニー・ジャー

  他

monsterhunter-movie.jp

2: あらすじ

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 ミラ・ジョヴォヴィッチ演じる国連部隊の大尉「アルテミス」はアルファチームの仲間達と共に行方不明となったガンマチームを探すために荒野を進んでいた。すると、雷と砂嵐に巻き込まれ、異世界(つまりモンスターハンターの世界)に飛ばされてしまう。そこで人類の兵器ではあり得ないほど黒焦げになったガンマチームを発見したり巨大な肋骨を発見したりすることでアルテミス達はそこが異世界である事を悟る。そしてハンターの警告にも気づかずに、アルテミス達は双角の竜ディアブロスや巨大毒蜘蛛ネルスキュラの群れに襲われ、アルテミスだけが生き残る。

 孤独になったアルテミスはモンスターにおびえながら砂漠を探索しようとするが、トニー・ジャー演じるハンターに敵だと認識され襲われる。アルテミスとハンターの激しい戦闘の末に和解し、砂漠を越えるために協力してディアブロスを倒すことにした。

アルテミスは双剣の使い方を学び、協力してネルスキュラを討伐し毒針を入手する。その毒と罠を利用し、怪我を負いながらも見事アルテミスとハンターはディアブロスを討伐する事に成功した。

 安全になった砂漠を越え、二人はオアシスにたどり着く。しかしそこにリオレウスがその上空を通り、それに驚いたアプケロスの群れに襲われる。そこにハンターの仲間である大団長や受付嬢、他のハンターが現れ助けてくれる。アルテミスは礼を言うが、大団長に殴られ気絶させられてしまった。

 アルテミスが気がつくと檻の中に閉じ込められていた。なんとか脱出して大団長に話をしに行く。アルテミスが大団長に何故私を捕らえたのかをと聞くと、そちらの世界(アルテミスの住む現実世界)はこちらの世界(ハンターの住むモンハン世界)に災いをもたらすから捕らえたのだと言われる。話を聞くと、大団長達はそちらの世界とこちらの世界をつなぐとされている「塔」に調査をしにいくところだった。アルテミスはその調査に協力することになった。

 塔に到着すると、塔の守り神的な存在である巨大なリオレウスに阻まれる。激しい戦闘中、アルテミスがリオレウスに吹き飛ばされるとその下にゲートが出現し、アルテミスは現実世界へと帰還する。

 アルテミスは救助されるが、ゲートを通って現実世界に来たリオレウスにヘリコプターが襲われ墜落してしまう。なんとか生き残ったアルテミスはモンハン世界の武器スリンガーを使ってリオレウスに大ダメージを与える。しかし油断してしまい殺されそうになるが、リオレウスと同時に現実世界にやってきた大団長とハンターに助けられ、リオレウスを討伐することに成功する。

 しかしすぐに雷と共にゲートが現れ、ゲートの向こうに塔の頂上からこちらに向かってくるゴア・マガラの姿が見えた。大団長はアルテミスに、これからも現実世界にモンスターがゲートを通って現れるであろうということを伝える。アルテミスはモンハン世界に戻り、さらなる戦いに身を投じることを決意する。

 

3:感想

 

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 まず、一言。『俺の知ってるモンハンはこんなんじゃねぇ!!!!』

 

 ふう。まあ、とりあえず言いたいことは言ったので落ち着いて感想に入ります。

 皆さんは、モンスターハンターの映画化と聞いてどのようなストーリーを想像するでしょうか。原作ゲームのファンであれば昔のゲームのストーリーのように、村のハンターとなった主人公が成長していく物語や、はたまたワールドのようにハンターが新天地を調査していくといったものを想像すると思います。

 しかし、この映画は違います。あらすじを読んでもらえれば分かると思いますが、現実世界の兵士がモンスターハンターの世界に転移しモンスターと戦うという、いわゆる異世界ものの作品です。

まあ、別に面白ければそれでもいいでしょう。

 

面白ければ!!!!

 

この映画が問題なのは、そのストーリーがおもしろくないというところです。

 

 まず、ほとんどセリフが無い。ハンターは現地の言葉しか話せないためアルテミスとの意思疎通が難しい、ということは分かるのですが、ハンターとアルテミスは作中、かなりの時間殴り合いをしています。最初はお互いに敵だと思っているということの演出なのかもしれませんが、それにしても人間同士で戦っている時間が長すぎる。体感ですが、ハンターとアルテミスが一緒にモンスターを狩る時間よりも二人で殴り合っている時間の方が長い気がします。折角モンハンの世界なのに。しかもそんなに戦っていた割に、一瞬で和解します。この殴り合いの必要性が全く感じられず、セリフもなくただ延々と人間同士で争っているのを見せられる時間ははっきり言って退屈です。

 そんな前半もひどいですが、後半はもっとひどいです。後半ではアルテミスと同じ言語を話せる大団長や他のハンターも登場します。それなのに、大団長とまともに会話をしません。よく分からないうちに仲間になり、理由もよく分からないままみんなで塔に向かうことになります。ここから超スピードでストーリーが進んでいくので全く理解出来ません。

 

過程をすっ飛ばして塔に到着すると、そこにはリオレウスが!!!

 

 そしてリオレウスと戦闘になりますが、何故か戦闘中にアルテミスが現実世界に帰ります。これが本当に唐突です。劇場で変な声が出そうになりました。

そしてアルテミスは救助され一件落着、と思いきやゲートを通ってリオレウスが襲いかかってきます。

 そしてよく分からないままみんな現実世界に大集合してサクッとリオレウス討伐。そして突如ゴア・マガラが出てきて、俺たちの戦いはこれからだ!!という感じで終わります。

 

この映画に、理由や論理を求めてはいけません。登場人物の人物像や過去を掘り下げることは一切ありません。主人公のアルテミスが意味ありげに指輪を眺めたりもしますが、特に意味はありません。ただ単に指輪マニアなだけなのでしょう。

ハンターも単語でしか話せない野蛮人という描写がされており、現地でハンターをしているという描写は全くありません。

そして戦闘。ゲームでは大剣や双剣などのメイン武器でモンスターを狩るのが主であり、罠やスリンガーはあくまでもその補助的な立ち位置でしかありません。しかしこの映画ではメイン武器をまともに使うシーンが数えるほどしかありません。

さらに、主人公のアルテミスは双剣を持っているのですが、覚えている限り、大型モンスターに対して一度もまともに使っていません。ハンターがモンスターに突き刺した大剣を押し込んだり、スリンガーで発煙筒を口に発射したり。確かに巨大なモンスターに人間の持てる程度の刃物で立ち向かうのは映像的に違和感がありますが、モンスターハンターの映画化として、そこはどうにかして欲しかったところです。

 

設定的なところを見ても、ひどさが目立ちます。

例えば、現実世界とモンハン世界をつなぐゲートというものがあるのですが、これも意味が分かりません。作中では古代文明のテクノロジーで作られたものと言われていますが、その古代文明についての言及は殆がないのです。はっきり言ってゲートはモンスターと全く関係が無いし、何故古代文明が現実世界とモンハン世界をつないでいたのかなど全く触れられません。

 

しかも、その古代文明の遺跡である塔の守り神がリオレウス。これが本当に理解出来ません。

ゲームをやったことがあるのであれば、モンスターハンター世界におけるモンスターは、あくまでも「強大な力を持った野生動物」という扱いであり、魔物や神のようなものではない、ということが分かると思います。ゲーム中のリオレウスも、その土地を統べる主のような扱いを受けることはあっても、何か古代文明を守るような役割を担うことはありません。

まあ、強いてそのような役割のモンスターといえば、古代文明の遺跡であるシュレイド城に住むミラボレアスなどもいます。が、ミラは「古龍」であり通常の「竜」とは明確に区別される存在です。そこをいい加減にして、さらにラスボス的なモンスターには古龍の中でも異色の存在であるゴア・マガラを登場させた意味も分かりません(正確にはゴア・マガラの種族は「分類不明」であり、「古龍種」なのはその成体であるシャガルマガラですが)。

 

ここまでこの映画について否定的な部分ばかり言ってきましたが、この映画の全てが悪かったのかと聞かれれば、そういうわけではありません。

まず、強大なモンスターに襲われるシーン。ホラー要素の多いバイオハザードの映画の監督作品であるということもあり、暗い洞窟の中でネルスキュラに襲われる場面などの緊迫感やスリルは素晴らしかったです。

さらに、アクションシーンの演出も良かったです。スローモーションを多用しすぎてクドい部分もありましたが、派手な爆発やスリリングな戦闘も多く、その部分だけ見れば充分に楽しめました。

 

ということで、このあたりで感想を終わりたいと思います。

結論としては、ストーリーやキャラクターについて考えずにアクションや演出だけを楽しむ、モンハン風味のB級アクション映画としてなら最高。モンハンの映画化としてみるならば駄作。そんなところです。

 

あと、私は3D 4DXでこの映画を見たのですがかなり良かったです。4DXはストーリーに集中しづらいので映画によって向き不向きがあるのですが、この映画の場合はストーリーを気にすることなく演出やアクションを楽しめるため、むしろその点が長所になっています。

お近くに4DXの劇場があれば是非4DXでご覧ください。おすすめです。

 

4:最後に一言

 この映画を見て「俺の知ってるモンハンはこんなんじゃねぇ!!!!」となった方には、モンスターハンターの公式ノベライズ作品をおすすめします。

 こちらは映画のように異世界転移ものではないですし、ゲームの雰囲気やストーリーに則ったまま、とても面白い作品となっています。

 

www.amazon.co.jp

このノベル版のストーリーで映画化されていればこんなことにはならなかったんだろうなぁ。

 

さて、映画の公開と同時にモンスターハンターライズが発売になっています。まだほとんどプレイできていませんが、今のところ超おもしろいです。映画を見るのは後にして、皆さんもモンハンライズ、やりましょう!!