【感想:本】ノーゲーム・ノーライフ10 ゲーマー兄妹は過去(ツケ)を払わされるようです 著:榎宮祐 MF文庫J
0:目次
1:書籍情報
題名【ノーゲーム・ノーライフ10 ゲーマー兄妹は過去(ツケ)を払わされるようです】
2018年2月25日 初版
ノーゲーム・ノーライフ10 ゲーマー兄妹は過去(ツケ)を払わされるようです (MF文庫J)
- 作者: 榎宮祐
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/02/24
- メディア: 文庫
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2: 作品概要
前巻の最後でクーデターを起こされて王座を終われた空と白は、何事もなかったかのように薬屋を経営していた。そんな平穏? の中で突如地精種(ドワーフ)から手紙が届く。それは、空と白が後回しにしてきた過去(ツケ)の清算を迫るものだった。そして、空と白はそのツケの清算のために奮闘することになる。
3:総合得点 63/100点
総合得点:63/100点
総括的評価:34/50点
項目別評価:29/50点
4:総括的評価 34/50点
『ライトノベル、ないしは小説そのものの概念を超越する作品。定石を壊される』
「よく分からない」。私がこの本を読み終えて最初に感じた印象はこれである。ストーリーや物語の流れが分からないのではない。なぜ分かっているのかが分からないのだ。
はっきり言って文章は支離滅裂である。話し言葉と書き言葉は混じり合う。存在しないルビ、無駄に多用されたダッシュ、片仮名と平仮名が混在した台詞、様々なウェイトで表記された様々なフォント。その全てが通常の文章では「あってはならない」もののはずであり、本来ならば「理解できない」形式の文章である。
しかし、この小説では「理解できてしまう」のである。いや、理解はできていなくとも、感覚的に分かってしまうのだ。物語がどのように進み、何が起きて、何を言っているのかが。
これは10巻であり、今更なのかも知れない。しかし、それでもこの独特の感覚はこのこの著者の著作にしか存在しない唯一無二の文体で、この小説のオリジナリティーの一つである。
さて、内容についてだが、10巻となり、物語は終盤にさしかかったといってもいいのかもしれない。とはいってもまだ全く明言されていない種族も数多くあり、まだまだ続く気もするのだが。
今作では地精種(ドワーフ)がメインキャラクターとして登場する。今まで殆ど登場することのなかった種族だったのだが、なかなか強烈な個性を持っている種族である。
そのせいもあるのかも知れないが、強烈なキャラが増え、一人一人がそれぞれ独自の世界観で生きているような感覚がした。その極端な性格がお互いをつぶし合い、喧嘩両成敗という訳ではないが、それぞれの存在感を薄くしあっているような。
もう長く続いているシリーズなのでしょうが無い事ではあるのかも知れないが、これ以上人数を増やすと収集がつかなくなるような気がする。もしかすると、もうなっているのかもしれない。
5:項目別評価 29/50点
5-1:ストーリー 7/10点
ストーリーは、いつものように空と白が、弱者のまま強者と渡りあうというものである。 10巻続いてもその面白さは衰えを知らず、今回も想像の上をゆくオチを魅せてくれる。
ただ、マンネリ化してきているという印象を拭いきれなかった。たしかに予想を超えた事が起こるのだが、今までにも多く起こりすぎていて感覚が麻痺してくる。そのせいか、初めの頃ほどの高揚感を味わえなくなってしまった。
5-2:構成 5/10点
場面の転換のタイミングが謎であり、読んでいて不思議な感覚になる。しかし特に違和感はないため、評価不能、という事で5点にする。
5-3:キャラクター 4/10点
個々人で見るとキャラクターは魅力的だ。今作から登場する地精種(ドワーフ)のキャラクターの性格も思わず笑ってしまうような楽しい者達ばかりだ。
しかし、如何せんキャラクター達が飽和していた。何処をとっても強烈な性格のキャラクターがお互いを潰し合い、それぞれの魅力を減衰させ合ってしまっている。
5-4:文体・表現 8/10点
よく分からないが、この独特の文体は最高だ。根拠など何処にも存在しないが、最高なのは最高なのである。物語の内容は、理性で分からずとも、感覚で分かっていればいいのだ。
5-5:読了感 5/10点
今回も、予想を超えた終わり方で締めくくられる。しかし、強烈なキャラクターで物語全体が飽和しているせいで「やっと終わった」と、疲れが勝ってしまった。そのため、±0で5点を付けた。
6:最後に一言
長く続いた作品は、大体10巻を超えた当たりからマンネリ化してくる事が多い。個人的には長くだらだら続くよりスパッと潔く終わった方が気持ちよいのだが、商業的な理由もあってだらだらと続く事が多い。この作品はそうならない事を切に願っている。
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