ゲラの読書&ゲーム日記

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不定期に本やゲームの感想を書いていきます

【感想:本】Hello,Hello and Hello 著:葉月文 電撃文庫

0:目次

1:書籍情報

 題名【Hello,Hello and Hello】

 著者【葉月文】イラスト【ぶーた】

 レーベル【KADOKAWA電撃文庫

  2018年3月10日 初版

Hello,Hello and Hello (電撃文庫)

Hello,Hello and Hello (電撃文庫)

 

2: 作品概要

 主人公は、名前も知らない可憐な少女と、何度も出会う。その少女は、何故か主人公の事をよく知っており、いつも突然現れて、「初めまして」と声をかける。そんな、繰り返される「出会い」を巡るちょっと不思議なラブストーリー。

3:総合得点 69/100点

総合得点:69/100点 

 総括的評価:39/50点

 項目別評価:30/50点

4:総括的評価 39/50点

電撃大賞、金賞受賞作。その賞に相応しい、切なくも美しいラブストーリー』

 

  恋愛と小説は、切っても切り離せない関係にある。多くの小説には少なからず恋愛要素を含んでおり、それがメインストーリーになることもあれば、メインストーリーのアクセントとして組み込まれている事もある。

 そして、その多くは現実世界では起こりえないことだ。これは考えてみれば当然のことである。現実世界では起こりえないからこそ、私達は空想し、その世界の恋愛を楽しむのだから。

 この作品は、舞台は現実世界の現代ではあるものの、ファンタジックな要素も多分に含んでいる。そして、そのファンタジックな部分が、この小説をこの小説たらしめている。

 ところで、人間は二度死ぬ、という話を聞いたことはないだろうか。一度目の死は、通常の肉体が死んだ時、二度目の死は、生きた人間の記憶の中から消える時である、というような話である。

 時に、人は肉体的な死よりも後者、記憶的な死を恐れることがある。この小説の根幹にあるのも、そのことに関する事柄なのかも知れない

 ネタバレになるためこのくらいにしておくが、この手の作品は最近流行っていると私は思う。少し違うかも知れないが、「一週間フレンズ」という漫画作品や「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」という小説など、最近のヒット作品をざっと見てみてもいくつかこの手の作品を見つける事ができる。

 よって、この小説はコンテンツの出来としては最高でも、このような雰囲気・設定の作品は私にとって少しだけ食傷気味である。そこに深く切り込めれば、よりオリジナリティーのある作品になったのではないかと、私は愚考する。

5:項目別評価 30/50点

5-1:ストーリー 7/10点

  物語の性質上、前半はエピソードがぶつ切れになって繰り返される。しかしそのエピソードは小粒ながら、一つ一つの出来が素晴らしく、同じような展開が続いても飽きることはなかった

 後半になって物語が大きく動くと、前半の所々に伏線となっていた場所が見受けられ、それらが美しいまでに組み合わさるのはとても心地よかった。

 ただ、前半の掘り下げが多すぎたせいか、後半のテンポが少し駆け足気味に感じられた。もう少し前半は簡略化して後半に比重を置いたほうが物語として自然な気がする。

5-2:構成 4/10点

  ストーリーの項目でも言ったが、物語のフェーズの配分が少し不自然だった気がした。確かに前半の掘り下げのおかげで後半の怒濤の展開が際立ったのは確かではあるが、それが「必要かどうか」と問われれば、必要ないと思う。

 その分後半を長くした方が、構成として違和感が少ないのではないかと私は思う

5-3:キャラクター 6/10点

 主なメインキャラクターは主人公を含め、3人のみである。そのため、一人一人にしっかりとスポットライトが当てられ、魅力的なその3人のキャラクターが伝わってきた

 ただ、1人だけあまりにも不憫な登場人物がいた。その登場人物は、いわゆる「負けヒロイン」であり、物語としては欠かせない存在で、役割であることは確かである。

 しかし、これは個人的な見解なのだが、あまりにも物語のせいでキャラクターが歪められると、私は拒絶反応を起こしてしまうようだ。そのため、この与えられたロールのせいで手放しに幸福とはとても言えない結末を迎えるこの登場人物があまりにもかわいそうだと思ってしまった。

5-4:文体・表現 6/10点 

  この作品の表現は、兎に角美しく、綺麗である。具体的にどのような部分が、とは明言できないのだが、どこか文章がキラキラと輝いているように見えるほどこの小説の表現は綺麗である。

 しかし、地の文の語り部分と、そうでない部分が雑多に交じり合っており、読んでいて少し違和感がある部分があった

5-5:読了感 7/10点

  物語は、概ね予想通りの結末を迎える。決してハッピーエンドとは言えないのかも知れない。しかし、これはこれで温かく、心地の良い読了感を味わうことができた

6:最後に一言

  以前は恋愛小説、というだけで手にも取らないほどラブストーリーを忌避していたのだが、最近は少しずつであるものの読むようになった。これからもいろいろなジャンルの小説を読むようにしていきたいと思う。

7:このブログについて

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